しかし、フィンランドの冬は思ったより厳しいです。2月18日、道がすべて凍り、市役所は小石とあちこちに撒いて危険防止をしてくれますが、アパートメントの前の道で、わたしはたまたま9キロの楽器を背負っていたまま、2メートルは思い切りとばされるように滑り、左手首を骨折という惨事となりました。通りがかりの男性が凄く心配そうに手を添えて下さり、その後、日本の研究者に病院を教えてもらい、幸いみなさんの助けを得て、パスポート、保険 を持参し公立病院へ、ギブスをつけてもらい、薬は処方箋がでて街で買い、なんとか日常生活をこなしています。ある方が、「そう。フィンランドの冬は、少し体調が悪かったりすると、生きていくのは大変なのよ。だから暖かい国の留学生は根をあげて帰っちゃうわよ。」とおっしゃっていました。この冬の厳しさを超えて春を待ち、1年を見越して様々な社会構造を上手く動かしており、高度な学力を全体に実現しているフィンランド人の底力は、このような厳しい冬から来ているのかもしれないと思わずにはいられません。もしも社会構造が、政治家が勝手なことを言って、道の除雪も学校もお金をかけず、安定した職も得られなかったら、みんな生きていけないであろうと思います。
服を着るのもメールをうつのも、2~3倍の時間がかかりますが、ギブスをはめている他の人が、にっこりわらって、何やったの?と声をかけてくれます。僕は今年初めてクロスカントリーしたらこのギブスだよ・・なんて言ってました。
骨折時も、タクシー頼むときは、私立病院が見てくれるのが早いからとそっちを頼むと、本当に私立でいいんかい? ぼくなら公立行くよ、値段は全然違うのに、質はおんなじだよ。ちょっと待たないといけないけど、といい、公立病院にまず行くことになりました。運転手は車をおいて、番号まで取ってくれました。手首は腫れてきて、動かすと痛いので、添木をさがし、タオルを切って撒きました。添木はなんと、お寿司を巻くものです。これしか見当たらず。病院では、それは Good Ideaだと、言ってもらい妙に受けました。医者もギブスを処置してくれた人も皆さん、親切で、お礼のことばしかありません。それでなぜ、そんなに順番をまつかというと、夜間診療ということもありましたが、事務ー医者ーギブス担当ーは、分業ではあるのですが、ナースと思える人はおらず、お医者さんが一人で何でもしてました。レントゲン次行きますと、メールで医者が連絡しており、次の方~と、医者が待合室に呼びにいっていました。設備は日本の病院の近代的なところと似ているのですが、不思議でした。また聞いてみます。
とにかく、今は残る右手を守るため、靴にスパイクをつけて歩いています。少しでも凍ったら、高くてもタクシー(基本でも12€)を使っています。3月の国際学会の分析が間に合うか・・・はかなり心配です。山あり谷ありの在外研究です。